2008 Fiscal Year Annual Research Report
ノルム制約を課したポートフォリオ最適化に対する統計的学習に基づく分析
Project/Area Number |
20710120
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
後藤 順哉 Chuo University, 理工学部, 准教授 (40334031)
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Keywords | ポートフォリオ選択 / ノルム制約 / 正則化 / バリューアットリスク(VaR) / 条件付きVaR(CVaR) / 汎化誤差 / support vector machine(SVM) |
Research Abstract |
本研究では、「ポートフォリオ選択に用いる資産収益率の実現値は、未知の分布からサンプリングされたものである」との立場に立ち、ポートフォリオの決定の際に事後パフォーマンスを意識したモデル構築を目指した。本年度はまず、機械学習分野において既知であるν-サポート・ベクター・マシンの汎化誤差評価を基に、ポートフォリオの事後パフォーマンスに対する損失確率(未知)の上限値、下限値をノンパラメトリックに評価した。その不等式から、当該確率を小さくするための最適化モデルとして、分子が(経験分布の)Value-at-Risk(VaR)あるいはConditional VaR(CVaR)から閾値を引いたもの、分母がポートフォリオ・ベクトルのノルムであるような分数関数を最小にする、定式化を提示した。Charnes-Cooper変換により、ノルム制約付きの問題へと帰着した等価な問題に対する切除平面アルゴリズムを記述した。そこでは、VaRを用いた場合には0-1混合整数計画を、CVaRを用いた場合には線形計画を、それぞれ反復的に解くことで、効率的に局所解を求める。 また、年度後半には、分数計画による定式化を避け、右辺パラメータを持つノルム制約を課したVaR/CVaR最小化モデルについて、ノルム制約と近年脚光を浴びているロバスト不等式との関連を指摘した上で、経験的VaR/CVaRを用いたトラッキング・ポートフォリオ・モデルに対し、前述のモデル同様、汎化誤差の評価を示すとともに、ノルム制約付き最適化モデルの実効性の検証について取り組んだ。数値実験の結果、正規乱数、東京証券市場の株価データいずれのデータを用いる場合に対しても、伝統的な(ノルム制約を課さない)モデルに比べ、優れた事後パフォーマンスが得られた。また、実務的な観点から通常課される空売り禁止制約(非負制約)がノルム制約の代理として一定の役割を果たしていることが確認された。
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Research Products
(8 results)