2010 Fiscal Year Annual Research Report
原子力災害対策や国民保護対策による県域間避難の効率的実施方策に関する研究
Project/Area Number |
20710126
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
梅本 通孝 筑波大学, 大学院・システム情報工学研究科, 講師 (10451684)
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Keywords | 減災 / 住民避難 / 原子力災害 / 国民保護 |
Research Abstract |
本研究は,原子力災害対策や国民保護対策による県域を越える長距離の住民避難の効率的実施方策を検討するために,各地における現行の原子力防災計画並びに国民保護計画の課題抽出と代替案の検討,及び,県域間避難シミュレータの開発と解析を行うものである。平成22年度における実施内容は次の通りである。 避難輸送能力の推計に関して,全国都道府県の国民保護対策部署を対象として実施した県域間避難に関する準備・検討状況のアンケートに基づく分析を行い,避難実施時に要避難人口が自県内の運送事業者の輸送能力を上回ってしまう場合でも,避難の指示を行う立場としては自家用車利用には慎重な県が多いこと,県域間避難についてはおよそ6割の県が「特に検討していない」としており,今後検討を要する課題であることなどを明らかにした。一方,県域間避難での避難手段別需要分担の推計に関しては,福島県,新潟県,福井県,静岡県の在住者を対象として実施したアンケートに基づき,長距離避難時の避難手段選択に関して多項ロジスティック回帰モデルによる要因分析を行い,回答者の個人属性や世帯条件による避難手段選択の傾向を明らかにした。さらに,地域メッシュ統計等の既存統計データを用いて避難手段選択確率の補正推定を行い,避難時の各種移動手段としては,自家用車と行政バスの選択確率は避難距離の延長に伴って当初の増加傾向から減少傾向に転じ,そのピークは自家用車よりも行政バスのほうが遠方であるほか,自家用車の選択確率は終始行政バスを上回ることなどの推定結果を得た。以上より,避難時の自家用車利用について行政側の思惑と住民側の意向との間に齟齬をきたすおそれがあることが明らかとなった。 県域間避難シミュレータに関しては,資金的制約から未だ完成に至っていないが,今後も開発を進めた上で県域間避難に関する現行計画と代替案の評価を行う予定である。
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Research Products
(1 results)