2008 Fiscal Year Annual Research Report
強化現実(AR)を用いた作業マニュアルの実用化に向けたヒューマンファクター的研究
Project/Area Number |
20710130
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
中西 美和 Chiba University, 大学院・工学研究科, 講師 (70408722)
|
Keywords | Augmented Reality / ヒューマンファクター / 作業マニュアル |
Research Abstract |
本研究は、透過型のHMD(Head Mounted Display)を用いて実視野に電子情報を重ね合わせる技術である強化現実(AR : Augmented Reality)を、製造・保守等の現場で利用される作業マニュアルに応用する可能性について、ヒューマンファクター的視点から検討するものである。特に、現場で行われる作業状況(作業特性、作業者特性、環境特性)は多様であり、状況に応じて作業者が得るべき情報及びその媒体の善し悪しは異なることに着眼し、種々の状況下でのARによるマニュアル(ARマニュアル)の有用性を実験的に明らかにすることを目的とする。 当該年度は、作業特性、作業者特性、環境特性をパラメータとして、従来の紙媒体のマニュアル(紙マニュアル)に比したARマニュアルの有用性を評価するための実験デザインを行い、予備実験を実施した。具体的には、愛知のヘリコプタ補修工場、千葉のプラント設備会社に調査に出向き、現場の作業に即した実験タスクとして難易度の異なる3種類(難易度の低い順にスキルベースタスク・ルールベースタスク・ナレッジベースタスク)を設計した。さらに、タスク遂行に要する作業マニュアルの適切なデザインについて、情報理論及び応用数学に基づくモデリングを行い、具現化した。学生を被験者とする予備実験を実施したところ、難易度の低いスキルベースタスク、及び難易度の高いナレッジベースタスクでは、紙マニュアル利用時に比したARマニュアル利用時の被験者の作業パフォーマンスに有意な差は見られなかったが、手順的に行われるルールベースタスクでは、ARマニュアル利用時の作業パフォーマンスが有意に高くなった。また、さらなる検討より、タスクによって被験者のマニュアルの参照の仕方が異なることが見出された。このことは、作業状況に応じて異なるであろうマニュアル参照方法が、ARマニュアルの有用性に影響していることを示唆しており、最終年度である次年度の研究方針に大きな方向性を与えた。
|
Research Products
(4 results)