2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20710138
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
谷川 亘 独立行政法人海洋研究開発機構, 高知コア研究所, 研究員 (70435840)
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Keywords | 泥火山 / LUSI / 透水係数 / レオロジー / 高間隙水圧 |
Research Abstract |
2006年5月29日、インドネシア東ジャワ州シドアルジョ県のガス田から高温泥水が突如地表に噴出した。噴出から5年以上経過した現在においても泥水噴出はおさまらず、地盤沈下等による二次的な被害も起こりはじめている。この災害の自然科学的に重要な点として、泥水流出が起きた原因と現在も大量に流出し続ける原因が挙げられる。 本研究では、泥水噴出地域である東ジャワ盆地における高間隙水圧の発達過程に着目して、泥水噴出事故との関係について考察を行った。地表露頭において採取した堆積岩を用いて、室内実験により水とガスの浸透率および間隙率を測定し、測定結果をもとにした堆積盆解析により、対象地域の間隙水圧および間隙率の深度分布と地質学的時間スケールにおける変動評価を行った。 ほとんどの堆積岩試料は封圧100MPaの変化に対して浸透率が1-3桁減少したが、化学的セメンテーションを受けている試料は封圧変化に対して浸透率はほとんど変化を示さなかった。地表に噴出した泥の起源とされているKalibeng層の軟泥岩は非常に低い浸透率を示した。堆積盆解析を行った結果、Kalibeng層軟泥岩は堆積開始時期から高間隙水圧が発達し、その後、現在まで高間隙水圧が保持される傾向が認められた。Kalibeng層が非常に低い浸透率でかつ、速い堆積速度で堆積作用が進行したことで高間隙水圧が発達したことを示している。この、高間隙水圧の発達がKalibeng層泥岩の強度低下を促し、軟泥層がもともと流動化しやすい(泥火山を生成しやすい)環境であったことを示唆している。また、レオメータを用いた軟泥層のレオロジーを測定した結果、粘性率は強い含水率依存性を示した。さらに、粘性率のすべり表面の凹凸依存性と加速度依存性も示し、泥が流動化する指標として、これらのパラメータが重要だということが明らかになった。
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Research Products
(6 results)