2008 Fiscal Year Annual Research Report
決定的ハプロタイプに基づく日本人ヒトゲノム構造多型の検出
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20710147
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
日笠 幸一郎 Kyushu University, 生体防御医学研究所, 学術研究員 (10419583)
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Keywords | ゲノム / 進化 / ハプロタイプ |
Research Abstract |
本研究の目的は、日本全国から収集した胞状奇胎と呼ばれる特殊な検体を用いて、日本人ゲノム中に存在している未知のゲノム構造多型を効率的に検出し、将来の遺伝学的解析の精度を向上させるための基盤情報構築を目的とする。今年度は、ゲノムワイドに約50万個の一塩基多型(SNP)のタイピングを行って得た、確定ハプロタイプ情報を基に、以下の解析を行った。 (1) 主成分分析を行い、胞状奇胎から得られた確定ハプロタイプが、日本人集団の代表的ハプロタイプであることを確認した。 (2) 連鎖不平衡係数を指標とし、確定ハプロタイプと推定ハプロタイプ構造を比較し、距離依存的に推定ハプロタイプの精度は減少することを示した。この結果は、長距離の連鎖不平衡度を利用する解析にとって、推定作業を要しない確定ハプロタイプ情報を適用することは有用であることを意味する。 (3) 自然選択を検出する統計量の一つであるiHS法(Voight et al., 2006, PLoS Genet.)は、長距離の連鎖不平衡度を利用する。そこで、独自の統計的指標を開発し、確定、及び、推定ハプロタイプがこの統計量に及ぼす影響をゲノムワイドに調査した。その結果、既知のゲノム構造多型が存在する領域(MHC領域、染色体17番の逆位多型領域)が大きく影響を受けていることが明らかとなった。即ち、確定ハプロタイプ情報は、より正確な自然選択領域の同定だけでなく、未知のゲノム構造多型の検出にも有用である可能性を示唆している。 これらの解析結果は、コールドスプリングハーバー会合(New York, America)、及び、アメリカ人類遺伝学会(Pennsylvania, America)にて発表した。次年度は、これらの結果を報告し、更に確定ハプロタイプの有用性について検討する予定である
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