2008 Fiscal Year Annual Research Report
体系的RNAiによるES細胞から始原生殖細胞への分化に関わる遺伝子群の探索
Project/Area Number |
20710151
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
前田 郁麻 Tohoku University, 加齢医学研究所, 助教 (20376560)
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Keywords | 生殖細胞 / ゲノム / 発生・分化 |
Research Abstract |
機能阻害によりES細胞から始原生殖細胞への分化を誘導できる遺伝子をRNAiスクリーニングによって体系的に探索する系を立ち上げた。このスクリーニング系は生殖系列特異的に発現する遺伝子Ddx4(mVHとも呼ばれる)の上流配列にRFPをつなげたリポーターを有するES細胞を利用し、RFPの発現上昇を基準に遺伝子を検索するものである。この系を用いて、マウスES細胞で発現している864遺伝子をターゲットにしたsiRNAからなるミニライブラリを利用したパイロットスクリーニングを行った結果、5つの候補遺伝子を発見することができた。これら5つの遺伝子については、ES細胞に対して機能阻害を行うと内在性Ddx4の発現も上昇することを済みである。また、RFP蛍強度の上昇がもっとも顕著だった1遺伝子については、機能阻害によりDdx4のみならず、Dazl、Stra8といった後期始原生殖細胞のマーカーや、減数分裂初期のマーカーScp3についても発現上昇していることがわかった。さらに、後期始原生殖細胞では発現が低下することが知られている表面抗原SSEA-1の発現が、RFP陽性細胞では低下していた。以上の結果から、マウスES細胞はこの遺伝子の機能阻害により後期始原生殖細胞の性質を獲得する可能性が示唆された。今後は、実際にこのRFP陽性となった細胞が生殖細胞として機能できるかどうかを検証するため、マウス精細管への移植実験を計画している。移植したRFP陽性細胞が奇形腫とならずに精子形成に寄与できれば、生殖細胞としての性質を獲得しているということになる。また、in vitroにおける減数分裂誘導実験も計画中である。
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