2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20710155
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
吉田 尊雄 Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology, 極限環境生物圈研究センター, 研究員 (60399566)
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Keywords | プロテオーム / ゲノム / 進化 / 蛋白質 |
Research Abstract |
本研究では、細胞内共生菌のシャペロニンがゲノム縮小進化に伴う変異の緩衝剤として機能している事を検証する。そこで、細胞内共生菌のシャペロニンの発現解析と、結合しているタンパク質の探索を行い、結合タンパク質の種類や配列から共通な特徴を探し出し、ゲノム縮小進化により、どのような遺伝子に、どのような変異によってフォールディングできないのかを検討する。今年度は、全ゲノム配列が決定しているシマイシロウリガイの細胞内共生菌のシャペロニンを含む分子シャペロンの発現解析を行った。シマイシロウリガイ共生菌の分子シャペロンの発現をRT-PCRで解析した。シマイシロウリガイの共生菌のゲノム解析の情報を元に,全遺伝子から分子シャペロンの中でも主要な働きをしている遺伝子(シャペロニン,DnaK,FtsH,SurA)及び転写調節因子(RpoH)を選び、RT-PCRを行った。サンプルは、採取の際に生じる圧力や酸素濃度変化による影響を考慮して、加圧装置による再加圧飼育や好気飼育、生育環境に近づけるために泥に足部を差し込んで飼育した個体を用いた。RT-PCRの結果、細胞質で働くシャペロニン,DnaK,RpoHのバンドに対して、内膜やペリプラズムで働くFtsH,SurAのバンドの濃さは薄かった。さらに、採取直後、再加圧飼育、好気飼育、泥中飼育のどの条件の個体においも、また個体間においてもRT-PCRのバンドのパターンに大きな変化は見られなかった。このことから、シマイシロウリガイ共生菌の分子シャペロンは宿主の生育環境の圧力や酸素濃度などに影響されず、シャペロニン、DnaKが発現する状態になっており、これらの分子シャペロンの働きが必要になっていると考えられた。
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