2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20710155
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
吉田 尊雄 独立行政法人海洋研究開発機構, 海洋・極限環境生物圏領域, チームリーダー (60399566)
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Keywords | プロテオーム / ゲノム / 進化 / 蛋白質 |
Research Abstract |
深海化学合成生態系に生息する二枚貝のシロウリガイ類は、宿主のエラの上皮細胞内に細胞内共生菌が1種類存在し、卵を介して垂直伝播されて宿主の親から子へと伝達される。シロウリガイ類の細胞内共生菌は、ガンマープロテオバクテリアに属するイオウ酸化細菌で、硫化水素を還元してエネルギーを作り出し、二酸化炭素を固定して有機物を作り出す。シマイシロウリガイの共生菌ゲノムサイズは1.02Mbと自由生活型と比較する小さく、細胞内共生によりゲノムを縮小するように進化していることが明らかになっている。本研究では、シマイシロウリガイの細胞内共生菌の分子シャペロンとして重要な働きをするシャペロニンがゲノム縮小進化に伴う遺伝子変異の緩衝剤として機能している事を検証する。そこで、細胞内共生菌のシャペロニンの発現解析と、結合しているタンパク質の探索を行い、結合タンパク質の種類や配列から共通な特徴を探し出し、ゲノム縮小進化により、どのような遺伝子に、どのような変異によってフォールディングできないのかを検討する。今年度は、全ゲノム配列が決定しているシマイシロウリガイの共生菌を含むエラ組織からタンパク質を抽出し、2D-PAGEを行い、タンパク質スポット切り出しプロテアーゼによる限定分解を行い、分解したペプチド断片をLC-MS/MSによる同定を行った。その結果、シャペロニンやイオウ代謝に関連するタンパク質や二酸化炭素の固定に使われるタンパク質が多く発現していた。これらは、シャペロニンの基質の可能性があり、現在、詳しく解析している。また、これらのタンパク質は、等電点の異なる2つのスポットに分かれて検出された。次世代シーケンサーを使い共生菌ゲノムの多様性を調べたところ、それらの遺伝子は等電点が変化するアミノ酸置換を伴うSNPが見つかった。これらの変異とフォールディングの関係を詳細に調べている。
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