2009 Fiscal Year Annual Research Report
人工マイクロRNAの機能を応用した次世代型RNA医薬の開発に向けての研究
Project/Area Number |
20710157
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
柴田 篤志 Kyushu University, 大学院・医学研究院, 学術研究員 (40467890)
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Keywords | RNA医薬 / miRN / 核酸 / ゲノム / 生体機能利用 / 発現制御 |
Research Abstract |
本年度は人工マイクロRNA(以下、miRNA)の二次構造の最適化を完了したため、得られた知見を基にマウスSmad2およびSmad3を標的としたmiRNAを作製し、さらにmiRNAの発現制御系を構築してマウスを用いた個体レベルへの応用を目指して以下の研究を行った。 1. マウスSmad2およびSmad3を標的としたmiRNA (miR-Smad2及びmiR-Smad3)を設計し、その発現ベクターを構築した。これらのmiRNA発現ベクターをNeuro2a細胞ヘリポフェクション法にて導入し、レポーター遺伝子の発現量を測定した。各miRNAによる抑制効果について評価した結果、miR-Smad2はSmad2の発現を90%程度抑制したが、Smad3の発現は抑制しなかった。一方、miR-Smad3はSmad3を80%程度抑制したが、Smad2の発現に変化は見られなかった。Smad2とSmad3は相同性の高い遺伝子であるが、本研究にて作製したmiRNAはSmad2とSmad3を識別できることが示された。 2. 胎児期におけるSmad2およびSmad3の発現低下は致死性の発生異常を引き起こすことから、miRNAの発現を特定の組織に限定する必要があり、Cre-loxPシステムを利用したmiRNAスイッチングシステムを新たに構築した。次にmiR-Smad2及びmiR-Smad3を組み込んだスイッチングシステムを電気穿孔法にてマウスES細胞へ導入し、トランスジェニックES (Tg-ES)細胞を作製した。このTg-ES細胞は通常の状態ではmiRNAを発現しないが、Creリコンビナーゼの発現にてmiRNAの発現が誘導された。またmiRNAの発現はTg-ES細胞を神経細胞へ分化させても継続した。そこでTg-ES細胞からトランスジェニックマウスを作製し、現在、解析を進めている。
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