2008 Fiscal Year Annual Research Report
O-結合型糖鎖を用いたde novoタンパク質設計に関する研究
Project/Area Number |
20710159
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤谷 直樹 Hokkaido University, 大学院・先端生命科学研究院, 特任助教 (10374191)
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Keywords | 生命化学 / 翻訳後修飾 / 立体構造デザイン / 核磁気共鳴 |
Research Abstract |
本研究における第一の目標として、天然に存在するタンパク質由来の糖ペプチドの立体構造解析から行なうた。 ヒト由来の糖タンパク質ムチン(MUC)は、その発現量や修飾される糖鎖構造が疾患によって異なり、疾患バイオマーカーとして利用することが期待されているため、ムチンのファミリーの1つであるMUC4のタンデムリピート配列を化学的に合成し、ライブラリー化を遂行した。本研究を申請する段階では大腸癌マーカーとして期待されるMUC5ACも予定していたが、現在のところ、有用な疾患マーカーが皆無というても過言ではない膵癌のマーカーになりうるMUC4を重点的に行うこととした。 糖ペプチドの合成は、電磁波照射下で行う迅速な合成方法を確立し、糖鎖伸長は糖転移酵素を用いた温和な条件下で行った。 また、メタノール代謝酵母であるPhichia pastrisを宿主として用いることにようて、ペプチド鎖に直接N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)を転移する酵素であるppGalNAc-T2の大量発現にも成功し、それを用いた糖転移反応から基質特異性と立体構造変化の追跡を行うことに成功した。 立体構造解析においても超高感度プローブを装着した核磁気共鳴(NMR)装置によって行い、迅速に行うことができた。 この立体構造解析情報から、O-結合型糖鎖がペプチドの立体構造に及ぼす影響や、その構造安定化要因を抽出することができた。 以上の結果で、本年度に行うべき研究の目標を達成することができた。 また本年度は、糖鎖を認識するタンパク質の立体構造解明や、ガン細胞における糖鎖の役割の解明にも着手し、それらを誌上発表することができた。
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