2008 Fiscal Year Annual Research Report
抗生物質Cー1027クロモフォアの合成とその生体高分子との相互作用の解明
Project/Area Number |
20710162
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 格 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 准教授 (80318196)
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Keywords | 有機化学 / 有機合成化学 / 天然物化学 / 抗生物質 / エンジイン |
Research Abstract |
非常に強力な抗腫瘍活1生を示す抗生物質であるC-1027は活性本体であり9員環エンジインをコア部に有する不安定なクロモフォアとそれを包摂して安定化するキャリアータンパク質の複合体であり, 動的な活性発現機構やユニークなドラッグデリバリーシステムを発現している天然有機化合物として幅広い興味を集めている。年次計画に従い, まずアミノ糖部の新規合成法を開発した。γ-ラクタムのジアステレオ選択的ジヒドロキシル化を鍵反応として大幅な工程数の短縮と全収率向上を達成した。更に, 9員環ジインにアミノ糖部を除く全てのフラグメントを連結したアグリコン保護体の全合成を達成した。その際, エンジインの形成とともに速やかにその分解反応が開始すること, および9員環エンジインの形成条件であるヨウ化サマリウムを用いた還元的オレフィン化反応に対しベンズオキサジン部ビニルエーテルが不安定であることが問題となった。ビニルエーテルをヘミアセタールとしてマスクしてエンジインの形成を行ない, 即座にヘミアセタールをビニルエーテルに変換したところ, 目的とするエンジインを得ることが出来た。当研究室で以前に明らかにしたように注意深く溶媒を選択することで9員環エンジインの反応性を制御し, 時間的に十分な余裕を持ってエンジインを単離することも可能であった。本結果は, 類縁のエンジイン系抗生物質の中でも最も反応性の高いC-1027クロモフォアのアグリコン保護体を初めて合成できたものであり, 極めて先導的である。
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