2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20710163
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
どど 孝介 独立行政法人理化学研究所, 袖岡有機合成化学研究室, 研究員 (20415243)
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Keywords | 細胞死 / アポトーシス / ネクローシス / 創薬科学 / ケミカルバイオロジー / ミトコンドリア |
Research Abstract |
細胞の死は我々生体の維持に必要不可欠な現象として盛んに研究され、中でもアポトーシスは生理的な細胞死の代表としてその詳細なメカニズムが明らかとされている。一方で近年、アポトーシスとは異なる細胞死(非アポトーシス型細胞死)の存在が明らかになっており、そのメカニズムの解明が細胞死研究において次なる課題として注目されている。本研究では様々な細胞死を制御(誘導または阻害)する化合物を開発し、その作用機序解明を通して細胞死のメカニズムを分子レベルで明らかにすることを目指す。 これまでの研究でヒト白血病細胞HL-60を用いて、様々なタイプの細胞死制御剤を探索および解析する系の構築に成功している。本年度はこの系を用いて、天然物chaetocinおよびその類縁体の持つ細胞死誘導活性の解析を行った。その結果、chaetocinの鏡像異性体ent-chaetocinがアポトーシスの制御因子であるカスパーゼファミリーのうち、カスパーゼ8を活性化することでカスパーゼ3の活性化を経てアポトーシスを誘導することを明らかにした。その直接的なターゲット分子同定には至らなかったものの、カスパーゼ8を活性化するタイプの化合物は数少ないため、ユニークな細胞死誘導剤へとつながるリード化合物を見出せたと言える。 一方で昨年度よりメカニズム解析を行っている非アポトーシス型細胞死を誘導するNecroTrigger(NT)化合物に関しては、ミトコンドリアにあるいくつかの結合蛋白質を同定することに成功した。さらにsiRNAを用いたノックダウン実験により、これら結合蛋白質のうち重要な因子を絞り込むことにも成功した。
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