2009 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内の特定配列を標的とするDNAアルキル化剤に関する分子細胞生物学的解析
Project/Area Number |
20710164
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
篠原 憲一 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 助教 (70378561)
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Keywords | テロメア / 核酸 / Py-Imポリアミド / 細胞老化 / DNAアルキル化 |
Research Abstract |
N-メチルピロール(P)、N-メチルイミダゾール(I)を基本単位として構成されるPIポリアミドへindoleを介してDNAアルキル化分子であるCBIを融合させた、2本鎖テロメア配列をアルキル化するポリアミドを合成し、テロメア長さや細胞増殖に対する影響を評価した阻害効果を検討した。去年までの結果で、CBIによるアルキル化反応が強力すぎることで可能性などが考えられた。CBIによる毒性の強さは、別の遺伝子を標的としたポリアミドでも同様で、遺伝子抑制効果よりも、細胞毒性の方が前面に出てしまう結果が得られていた。そこで、アルキル化部位をCBIからchlorambucilユニットへ変更した分子を開発し、評価を行った。テロメアを標的とするchlorambucil型PIポリアミドでは、アルキル化分子とサポート分子の2種類を協同的に作用させることで、テロメアリピート約2回分に相当する、11塩基対認識を達成できた。化学的な評価において、この11塩基認識モチーフは、従来のCBI型に比べて遜色のないアルキル化能を示した一方で、CBI型と比較すると細胞毒性は低めであり、アルキル化によるテロメア長変化の様子をより評価しやすくなったと言える。また、慢性骨髄性白血病の原因遺伝子BCR-ABLを標的とするchlorambucil型PIポリアミドも合成してアルキル化能力と細胞毒性を評価したところ、テロメア標的型と同様の結果が得られた。以上の分子改良により、細胞毒性にマスクされないレベルでの評価が容易になった事が予想される。現在、これら分子によるテロメア長短縮効果や、遺伝子発現抑制効果の評価を行っている。
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Research Products
(4 results)