2008 Fiscal Year Annual Research Report
特異な構造を持つガングリオシドAG類の化学合成と神経突起伸長活性の評価
Project/Area Number |
20710171
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
花島 慎弥 The Institute of Physical and Chemical Research, 糖鎖構造生物学研究チーム, 基幹研究所研究員 (50373353)
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Keywords | シアル酸 / 神経突起伸長 / 有機合成 / グリコシル化 / ガングリオシド |
Research Abstract |
オニヒトデの一種から単離され、神経突起伸長作用を有するガングリオシドAG2の作用機構の解明に向けて研究を行っている。本年度はその糖鎖部分の特異な構造に着目して、AG2五糖の化学合成を行った。AG2糖鎖は1位にカルボキシル基を有する酸性九炭糖であるシアル酸を、その糖鎖中央部にもつ独特の構造であり、通常哺乳動物の糖鎖ではシアル酸を非還元末端にもつ事とその構造は対照的である。その特異な糖鎖の化学合成のためには(1)シアル酸の導入と、(2)シアル酸への糖鎖の導入の二つの段階が鍵を握ると考えられた。そこでまずは、シアル酸の導入について種々検討を行った。その結果、1位をチオエステルで保護した供与体が高い立体選択性で目的のグリコシドを与える事を示した。この理由として、ニトリル溶媒とチオエステルの関与した五員環型中間体を経由して反応が進行すると考えている。さらにAG2の合成を進めて、シアル酸の水酸基とアミノ基を環状シリル基とオキサゾリジノン基で二重にフィックスし、立体構造を制約した新規供与体をデザインした。本供与体はシアリル化反応において高い反応性および立体選択性を示し1級、2級水酸基に対して高収率で目的のシアリル化糖鎖を与える事を示した。また特に8,9位を嵩高いシロキサキリデン基を有する供与体が立体選択性に優れていた。続いて得られた三糖の4位へさらなる二糖を導入し、目的の五糖を高収率で得る事に成功した。最後にすべての保護基を除去して五糖部分の合成を終了した。現在、得られた五糖と、生体内での受容体になると考えられるSiglecとの相互作用を解析している。
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Research Products
(4 results)