2009 Fiscal Year Annual Research Report
希少動物の保全モデルケースの確立-北海道小コウモリ類の分布特性から考える
Project/Area Number |
20710180
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
河合 久仁子 Hokkaido University, 北方生物圏フィールド科学センター, 研究員 (60451415)
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Keywords | 希少動物 / 小コウモリ類 / 分布特性 |
Research Abstract |
本研究の目的は、小コウモリ類の分布特性を巨視的に捉え、動物地理などと歴史的な背景や遺伝的要因が分布制限要因となりうるのかを検証し、保全対象を明確にする事である。具体的には北海道をモデル地区としている。 平成22年度は、平成21年度におこなった調査によって得られたサンプルの実験および解析をおこなった。特にホオヒゲコウモリMyotis gracilisをターゲットとし、道内で発見されている集団ねぐらから捕獲したものであり、遺伝的要因が分布制限要員になりうるのかを検証するため、集団遺伝学的検討をおこなった。ロシア極東部プリモルスキー地域において捕獲された、小コウモリ類7種については、これまで日本列島に分布している種と同種と考えられてきた種も含まれるが、これらの種に分類学的な問題が生じた。分類学的な混乱は保全対象を不明瞭にする恐れがあるため、分類学的検討を国立科学博物館およびアメリカスミソニアン自然史博物館でおこなった。ほかに、北海道で偶然拾得された二種、Vespertilio murinusおよびHypsugo saviiについての分類学的および系統学的検討をおこなった。以上の研究はすべて、平成23年度に課題を引き継ぐ予定である。
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