2008 Fiscal Year Annual Research Report
浚渫土人工干潟の有効性検証-絶滅危惧種シオマネキの生息を支える環境要因の解明
Project/Area Number |
20710183
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Research Institution | Anan National College of Technology |
Principal Investigator |
大田 直友 Anan National College of Technology, 建設システム工学科, 助教 (00370031)
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Keywords | 干潟 / 復元 / 浚渫土 / シオマネキ |
Research Abstract |
戦後約40%も失われた干潟であるが, 干潟の持つ豊かな機能が認識され, その保全と再生に向けた取り組みが各地で実施されている. しかしながら, 干潟の再生・復元に向けた取り組みはようやく始まったばかりであり, 施策に当たっての有効な知見は未だ少ない状況にある. また, 近年干潟の造成材料となる海砂の採取が困難となっており, 代替材料の確保・開発が課題とされている. さらに, 毎年大量に発生する浚渫土の処理も喫緊の課題となっている. これらの課題の解決策として, 浚渫土の泥干潟造成への活用が有効であると考えられる. 徳島県阿南市大潟町の漁港改修現場では, 埋め立て予定部分に浚渫土が盛られ人工干潟が意図せず出来上がった. そこには, 数年前から絶滅危惧種シオマネキを含む多くの底生生物が自然に加入し, 豊かな生態系が形成されている. そこで本調査では, この浚渫土人工干潟における底生生物の分布に影響する要因を明らかにし, 浚渫土の生物生息基質としての有効性を検証するとともに, 泥干潟造成材としての利用可能性を検討することを目的とする. 20年度は, 大潟干潟(人工)と勝浦川(天然)での底生生物分布調査と野外底質操作試験をおこなった. その結果, 大潟人工干潟浚渫土区における底生生物の生息密度は, 観察を行った5種類中4種類に関して地盤高と明確な関係が確認された. 粒度組成に関しては, シルト・粘土分が平均82.6%(57.9〜93.8%)と浚渫土区全域で一様に非常に高い値を示し, 地盤高の違いによる変化は見られなかった. また, シオマネキの分布様式を大潟人工干潟と勝浦川天然干潟で比較したところ, 密度とサイズ組成に関して大きな違いが見られた. また, 野外底質操作実験の結果, 試験開始後16ヶ月が経過した平成20年9月時点では, シオマネキとアシハラガニ類の新規加入以外の生息個体数密度に関しては浚渫土区において最も高い値を示した.
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