2008 Fiscal Year Annual Research Report
社会秩序の再編過程における移民の役割:インドネシア・アチェ紛争の事例から
Project/Area Number |
20710185
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西 芳実 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 助教 (30431779)
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Keywords | 難民 / エスニシティ / マレー世界 / 国民国家 / スマトラ沖地震津波 / ナショナリズム / 平和構築 / 災害対応 |
Research Abstract |
初年度にあたる平成20年度は、アチェ域外居留民の位置づけを検討する準備として、インドネシアとマレーシアの社会編成の相違点ならびに2006年アチェ統治法がめざす社会秩序の特徴の整理(「2006年アチェ統治法の意義と展望」『地域研究』2008年4月)、文学作品に描かれたアチェ・イメージの分析(「「犠牲者の物語」を乗り越えて」『すばる』2008年5月)をし、これを踏まえて海外出稼ぎインドネシア人(TKI)に関する文献の収集や2004年スマトラ沖地震津波の復興再建事業における社会秩序の変容についての予備的考察(「自然災害と地域の再建」『すまいうん』2009年1月)を行なった。具体的には、インドネシア(バンダアチェ、ジャカルタ)、シンガポール、マレーシア(クアラルンプール)で、関連する文献の渉猟を行なったほか、アチェ紛争や2004年スマトラ沖地震津波によって避難民・難民が増加した時期を中心に、海外出稼ぎインドネシア人に関する新聞記事(インドネシア語紙7紙ならびに英語紙1紙、2000年-2007年)をインドネシア国際問題戦略研究所で収集したうえで、これをデジタル化し、データベース作成の準備を進めた。また、海外出稼ぎインドネシア人を対象に情報発信を行っている雑誌編集部に聞き取り調査を行なったほか、2009年8月にクチン(マレーシア)で開催された国際マレーシア研究者会議に出席し、マレーシアにおける移民研究の現状把握ならびに現地専門家との意見交換を行なった。さらに、アチェ域外居留民を居留地や移住した経緯によって分類・整理し、論文として発表する準備を進めた。
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