2009 Fiscal Year Annual Research Report
社会秩序の再編過程における移民の役割:インドネシア・アチェ紛争の事例から
Project/Area Number |
20710185
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西 芳実 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 助教 (30431779)
|
Keywords | 自然災害 / 人の移動 / 民族紛争 / 国民国家 / エスニシティ / マレー世界 |
Research Abstract |
二年目にあたる平成21年度は、昨年度収集し、デジタル化した海外出稼ぎインドネシア人に関する新聞記事のうち、2004年分についてメタデータを付し、データベース作成の準備を進めた。収集した海外出稼ぎインドネシア人に関する文献資料等をもとに、マレーシアにおけるインドネシア人像や、インドネシアにとってのマレーシアの役割を考察するもととなる論考をまとめた(「マレーシアとインドネシアの微妙な関係」2010年3月)。 また、2004年スマトラ沖地震津波以降、住居や生業の移動が日常的に行なわれる社会のあり方に対応するかたちでインドネシアで災害への対応がはかられていることを、(1)ボランティア社会としての特性の顕在化(「スマトラ沖地震・津波」『アジ研ワールド・トレンド』2009年6月)、(2)域外の支援者の存在を前提にした災害対応(「現代インドネシアの公正/正義」CIAS Discussion Paper No.20)といった点に注目して整理した。2004年スマトラ沖地震津波の被災地となり、国際的な救援復興活動が行なわれたバンダアチェの被災者が、被災を契機に生まれた多文化的状況下でどのようにして自らの被災経験を表現し、被災後の社会づくりをめざしたかについては、「裏切られる津波被災者像」(林勲男編『自然災害と復興支援』2010年1月)にまとめた。 このほか、国際シンポジウム「現代東南アジアにおける映画的介入」に参加し、東南アジアの各国の文化的越境への対応について意見交換を行なったほか、オーストラリア国立大学から小林柔子氏を招聘してシンガポールの移民政策についての研究会を開催した。
|