2010 Fiscal Year Annual Research Report
長期化難民の社会・文化・アイデンティティの再構築と開発に関する人類学的研究
Project/Area Number |
20710190
|
Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
内藤 直樹 国立民族学博物館, 研究戦略センター, 機関研究員 (70467421)
|
Keywords | アフリカ / 開発・援助 / 共生・排除 / 文化人類学 / 国際社会・エスニシティ / 難民 / 平和構築 / グローバル・イシュ |
Research Abstract |
本研究課題の目的は、アフリカが直面している「難民状態の長期化」にかかわる諸問題を理解し、難民やホスト社会を対象に実施されるべき開発計画の策定に必要な基礎的資料を提供することにある。そのために、世界最大の難民キャンプであるケニア・ダダーブ難民キャンプでのフィールド調査を実施し、難民が生活を再編するためにおこなう創造的な文化・社会的実践等の様態を解明する。 4年計画の3年目である平成22年度はダダーブ難民キャンプのソマリ難民とケニアの地域住民が構築した社会-経済的関係の様態に焦点をあてた。現地調査の結果、難民と地域社会の人びとの双方は、約20年もの長期にわたる相互交渉の過程で、生活上の争いを回避する制度や、野菜・ミルク・工業製品の委託販売関係、土地の貸借・売買制度などの共生を可能にする方途を練り上げてきたことが明らかになった。 そして本研究の成果をもとに、アフリカの紛争後社会に生きる人びとが内戦の過程で創出された他者や国際的な援助の実務者といった多様なアクターたちと共に新たな「日常」を創出していく実践を検討するための国際シンポジウムを開催した。今後、本シンポジウムの成果を論文集として出版する予定である。 また国立民族学博物館における試行的プロジェクト-若手研究者による共同研究において「<アサイラム空間>の人類学:社会的包摂をめぐる開発と福祉パラダイムを再考する」と題した共同研究を主宰した。
|