2009 Fiscal Year Annual Research Report
インドネシアにおけるイスラーム主義急進派のイデオロギーと実践
Project/Area Number |
20710192
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Research Institution | Iwate Prefectural University |
Principal Investigator |
見市 建 Iwate Prefectural University, 総合政策学部, 講師 (10457749)
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Keywords | インドネシア / イスラーム / イデオロギー / 政治運動 |
Research Abstract |
本年度は主として二つのテーマについて調査・研究を行った。第一にインドネシアのイスラーム主義急進派のジャマーア・イスラミヤ(JI)を中心とした聞き取り調査である。2009年は4年ぶりに比較的大規模な爆弾テロ事件が起こり、当局側も激しい取り締まりを行った。JIにとってまさに激震の年であった。当局側は被疑者を殺害するケースが多く、武装闘争の対象やそのイデオロギー的正当化にも変化をもたらした。2010年に入って組織を超えた新たな運動の存在が明らかになり、50人を超す逮捕者が出た。これらは単なる一時的な事件ではなく、組織やイデオロギー的な変遷や国際情勢との関わりを理解するうえで極めて重要な出来事であった。当事者への直接的間接的なインタビューを通して、組織的・イデオロギー的変遷を明らかにした。第二にインドネシアの総選挙に対するイスラーム政治勢力の対応である。一部の最も急進的な運動は国民国家の存在や民主主義制度を否定する。しかし、そうした勢力を含め、イスラーム主義運動はインドネシアの政治的社会的なセッティングのなかで行動しているのであり、民主化の定着を占う選挙への対応が重要な研究トピックとなった。 2009年の選挙におけるイスラーム政治勢力の動向とその社会的文脈については、他の研究プロジェクトとも連携して、調査を行い、共同で成果を発表した。JIの組織的イデオロギー的な変遷については本年度いくつかの論考を執筆しており、その出版を待っている状況である。
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Research Products
(3 results)