2009 Fiscal Year Annual Research Report
アフリカ熱帯雨林居住民の食物資源利用の様態と生活様式類型の再検討
Project/Area Number |
20710194
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
安岡 宏和 Hosei University, 人間環境学部, 講師 (20449292)
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Keywords | 生態人類学 / 歴史生態学 / 中部アフリカ地域研究 / 狩猟採集社会 / ドメスティケイション / 自然保護計画 |
Research Abstract |
前年度に実施したフィールドワークと、それ以前のフィールドワークによって得られたデータをあわせて分析ならびに考察をおこない、その成果として2件の査読付学術論文と1件の学術図書(科学研究費補助金研究成果公開促進費による)を公刊した。なお、学術図書『森棲みの生態誌』(木村大治・北西功一編)に掲載されている全17編の論文のうち、3編の単著論文と1編の共著論文が本研究の成果である(全440頁のうち95頁)。それらの標題は以下のとおりである。 (1) ワイルドヤム・クエスチョンから歴史生態学へ-中部アフリカ狩猟採集民の生態人類学の展開(単著)(2) バカ・ピグミーの生業の変容-農耕化か?多様化か?(単著) (3) バカ・ピグミーの狩猟実践-罠猟の普及とブッシュミート交易の拡大のなかで(単著) (4) コンゴ民主共和国・ワンバにおけるタンパク質獲得活動の変遷(共著) これらの研究成果では、アフリカ熱帯雨林地域における住民の非木材森林資源(Non Wood Forest Products)の利用の実態を明らかにした。それは、現在、当該地域にてさかんにすすめられている自然保護計画において、住民の生活と森林保全の両立を達成するために欠かせぬ情報である。また、その過程で、次年度以降の課題として、おなじ地域に住んでいる狩猟採集民と農耕民にたいして、自然保護計画の推進者の対応が異なっていることがどのような問題をはらんでいるのか、そして、それによって生じる三者間のコンフリクトを解消するためにはどのような制度設計が必要であるか、といった問題が提起された。この課題にとりくむためには、異質な存在とされがちである狩猟採集民と農耕民の生活様式・資源利用のあり方の差異や共通点を比較検討することをとおして、森林居住民による森林利用の多様性と普遍性の両方の観点をまじえながら、両者を包括的に視野におさめるような理論的な枠組みを構築する必要がある。
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