2011 Fiscal Year Annual Research Report
アフリカ熱帯雨林居住民の食物資源利用の様態と生活様式類型の再検討
Project/Area Number |
20710194
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
安岡 宏和 法政大学, 人間環境学部, 講師 (20449292)
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Keywords | 生態人類学 / 歴史生態学 / アフリカ / 熱帯雨林 / ドメスティケイション / 森林保全 / 非木材森林資源 / 半栽培 |
Research Abstract |
(1)野生ヤム採集と農作物栽培における、植物にたいする人々の関与のしかたの類似点と相違点を、「半栽培」のグラデーションに位置づけながら明らかにした。その結果、人間活動と森林環境とのインタラクションをとおして食物資源が形成され、消失していくという点において、野生ヤムと農作物には森林食物資源としての共通点があることを指摘した。 (2)狩猟採集民と農耕民では、食物資源獲得のための労働投入が食物資源の運用にさいしてどのように意味づけられているかという点に、差異があることを明らかにした。一方で両者の食物資源は大きく重複していた。すなわち、狩猟採集民的な生活様式と農耕民的な生活様式との最大の相違点は、利用する食物の生物的性質や労働の先行投入の有無そのものではなく、食物資源の運用をめぐる社会関係のなかで先行する労働投入の事実がどのように意味づけられているかという点にあると結論づけた。 (3)バカの狩猟規則の機能と構造を明らかにした。バカ社会には、ゾウやカワイノシシの狩猟にさいして第一撃を与えた男はその肉を食べてはならない、という規則が存在する。ハンターが肉を食べられない一方で、その肉は人々に広く分配される。このような肉のシェアリングは、従来、贈与交換の変種として理解されてきた。しかし、バカたちの肉のシェアリングは、贈与交換とはまったく異なる原理にもとづくモノのやりとりであること、また、上記の狩猟規則は、精霊と動物と人間の関係性をめぐる豊かな想像力によって構造化されているバカたちの「生きる世界」を再生産する装置として機能していることを指摘した。 これまでアフリカ熱帯雨林に住む人々は、漫然と「狩猟採集民」と「農耕民」として区別されてきたが、かれらの資源利用のあり方の類似点と相違点を明確に理解するための枠組みが得られた。
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[Journal Article] Quantitative assessment of livelihoods around Great apereserves : Cases in Luo Scientific Reserve, DR Congo, and Kalinzu Forest Reserve, Uganda2012
Author(s)
Yasuoka, H., Kimura, D., Hashimoto, H., Furuichi, T.
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Journal Title
African Study Monographs Supplementary Issue
Volume: 43
Pages: 137-159
Peer Reviewed
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