2008 Fiscal Year Annual Research Report
ジェンダー視点に立った予算分析の実践-業績評価からのアプローチ
Project/Area Number |
20710199
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
市井 礼奈 Ochanomizu University, ジェンダー研究センター, 客員研究員 (00452029)
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Keywords | 政策評価 / 生活時間 / ジェンダー / ワークライフバランス / ジェンダー予算 / 韓国 |
Research Abstract |
ジェンダー予算分析とは、政府予算の影響を男女(階級、人種、年齢による違いを含む)に及ぼす影響を検証する手法である。今日、世界60カ国以上の国々で実践されている。これまでジェンダー予算分析の中心は過年度のセクター別歳出分析にあった。先行研究の結果、近年その分析範囲は拡大し、歳出や税制などジェンダー平等を実現するための具体的な道筋を探るための手段となっている。 諸外国の事例として韓国のジェンダー予算制度について調査を行った。韓国では2006年に成立した国家財政法に基づき、2010年会計年度からあらゆる省庁がジェンダー予算分析を行い、ジェンダー予算声明を国会に提出することになった。この結果、韓国政府女性部、旧企画財政部、韓国女性開発院、租税政策研究所を中心にジェンダー予算分析実施のための具体的な手法の開発が行われている。具体的には中央省庁と広域自治体が2005年から実施しているジェンダー影響調査をジェンダー予算に応用する方法が検討されている。 ジェンダー影響調査の利用には次のような利点がある。(1)女性を受益者と特定した予算のみならず、必ずしも女性を受益者と特定しない一般予算も調査対象とするので、政策や予算の影響を幅広く把握することが可能になる。(2)ジェンダー影響調査の実施体制が整っている。(3)ジェンダーに及ぼす影響が単年度の予算サイクルに含まれることで、その影響が継続的にモニタリングされるようになること。 韓国のジェンダー女性予算制度は新しい財政制度(業績に基づく予算制度)の中で実践されようとしている。既存の経済効率などの財政指標とジェンダー視点に立った社会的公正を計るための指標がどのように統合されるのか今後の行方に注目していきたい。
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