2010 Fiscal Year Annual Research Report
ジェンダー視点に立った予算分析の実践-業績評価からのアプローチ
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20710199
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
市井 礼奈 お茶の水女子大学, ジェンダー研究センター, 客員研究員 (00452029)
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Keywords | 政策評価 / 生活時間 / ジェンダー / ワーク ライフバランス / 政府予算 |
Research Abstract |
本年度は日本と韓国を事例として、ジェンダー予算のアプローチと実施方法に関する比較研究を総括した。 日本におけるジェンダー予算の新たな動きとしては、内閣府男女共同参画局による諸外国のジェンダー予算の事例研究の実施と第3次男女共同参画計画の策定が挙げられる。第3次計画の策定過程では、女性団体とNGOによる積極的な活動の結果、男女共同参画計画の中では初めて「ジェンダー予算の在り方の調査・研究を行う」ことが明記された。これは政府によるジェンダー予算の実施に向けた足がかりとなると期待される。 一方、韓国では、ジェンダー予算声明が策定され、国会に提出された。これはジェンダー予算の実施が本格化したことを意味する。しかし、この予算声明は既存の予算声明の枠組にとどまっている。例えば予算の公正性を測る指標の作成やジェンダー平等政策の政策目標がジェンダー平等を真に反映しているがどうかなどの分析は行われていない。したがって予算がジェンダーに及ぼす影響が十分に分析されているとは言い難い。 日本と韓国では、行政組織、制度的枠組、予算制度は大きく異なる。ジェンダー予算の法的枠組が整備されている韓国ではジェンダー予算が実施されているが、その実施方法には様々な課題が残されている。一方、日本には韓国のような法的枠組整備されていない。政府やNGOがジェンダー予算関連の様々な試みを行っているものの、それは断続的、断片的の試みに過ぎない。今後日本の状況に見合ったジェンダー予算分析のあり方と実施方法について、研究者のみならず、政府、NGO、国会議員が連携して検討していく必要があると考えられる。
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