2008 Fiscal Year Annual Research Report
インド仏教認識論と分析哲学における知覚論の比較研究
Project/Area Number |
20720012
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
護山 真也 Shinshu University, 人文学部, 准教授 (60467199)
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Keywords | ダルマキールティ / 知覚論 / 自己認識 / ヨーガ行者 / センス・データ |
Research Abstract |
本年度は、ダルマキールティの『プラマーナ・ヴァールッティカ』第三章(PV III)の自己認識説を中心に文献解読の研究を進め、資料蒐集と内容分析それぞれにおいて所期の目的を達成した。第一の点に関しては、9月にウィーン大学を訪問し、PV IIIの文献学的研究をプロジェクトとして進めているB. ケルナー博士と面会し、R. サーンクリトヤーヤナがPV校訂に利用した写本(PV-H)のデジタルコピーを利用させていただいた。また、同博士とPV III自己認識関連個所のテキスト再校訂作業についての方針と計画を確認した。同時に、ウィーン大学インド学チベット学研究所の図書館において、本研究に必要な二次文献を複写することができた。一方、第二の点に関しては、PV III 192-193の二つの詩節の読みを、ジネーンドラブッディの『集量論注』他の資料から再考して、従来のテキストに過誤があったことと当該詩節の思想史的背景について『印度学仏教学研究』に発表した。また、エモリー大学で開催された第14回国際仏教学会では、B. ケルナー博士が企画した自己認識研究のパネルにおいて口頭発表を行った。まず、ディグナーガ・ダルマキールティが外界存在を認める経量部的認識論において自己認識を認識結果と認めたとする見解の問題点を指摘した上で、ダルマキールティが自己認識説を必要とした理由について、ヨーガ行者の他心知との関連で経験の自己同一性を保証するためではなかったか、という仮説を提示した。
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Research Products
(3 results)