2010 Fiscal Year Annual Research Report
東アジア仏教論理学史研究のための逸文データベースの構築
Project/Area Number |
20720013
|
Research Institution | Hanazono University |
Principal Investigator |
師 茂樹 花園大学, 文学部, 准教授 (70351294)
|
Keywords | 仏教論理学 / 因明 / テキストデータベース / 玄奘 / 唯識比量 / 元暁 / 非古典論理 / 数理文献学 |
Research Abstract |
(1)デジタル化した因明文献の整備…昨年度いったん公開を開始したものの、メタデータなどの記述方法などについて再検討したい部分が発生したので、現在はメンテナンス中となっている。23年度に再公開する予定。 (2)西洋の論理学との比較検討…西洋の論理学を受け入れた明治期の知識人が因明(伝統的な仏教論理学)をどのように理解したのかについて、村上専精(1851-1929)・大西祝(1864-1900)の言説を中心にして検討した(23年度に論文化予定)。その結果、因明は非古典論理(特に多値論理)の範疇で理解すべきではないか、という予想を立てることができた。もっとも、因明のすべてが非古典論理的なのではなく、玄奘(602-664)の唯識比量(唯識の証明のための推論)に対する新羅の元暁(617-686)の批判を見ると、元暁が古典論理的に因明を考えていたことが推測される部分があり、因明理解の多様性を前提として今後も検討を要することがわかった。 (3)学会発表等…玄奘の唯識比量に関するヨーロッパの重要な研究であるEli Franco. "Xuanzang's proof of idealism (vijnaptimatrata)"を日本語訳した(花園大学文学部研究紀要に掲載)。そして、このFrancoの因明理解と比較する形で、(2)でも述べた元暁による玄奘の唯識比量批判について韓国の学会で発表することができた。また、玄奘の唯識比量をめぐる議論がある日本古代の空有の論争について、日本の学会で発表することができた。加えて、デジタル化された古典文献の数理的な分析手法についても国内のシンポジウムで発表することができた。
|
Research Products
(8 results)