2008 Fiscal Year Annual Research Report
ユダヤ教超正統派における反シオニズム・イデオロギーの形成と変容
Project/Area Number |
20720014
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
赤尾 光春 Osaka University, 人間科学研究科, 特任助教 (90411694)
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Keywords | ユダヤ / ディアスポラ / イスラエル / ユダヤ教超正統派 / シオニズム |
Research Abstract |
本年度の最初の数ヶ月は、本研究プロジェクトとも密接に関わるダニエル&ジョナサン・ボヤーリン『ディアスポラのカ--ユダヤ文化の今日性をめぐる試論』(平凡社より2008年6月刊行)の刊行準備の傍ら、当該研究テーマに関して現存する二次文献に基づいた論文執筆を中心とした活動を行った。その成果は、2008年9月に刊行された『ユダヤ人と国民国家--「政教分離」を再考する』市川裕・臼杵陽・大塚和夫・手島勲矢編(岩波書店)に所収の『イスラエルにおける捕囚--ユダヤ教超正統派と反シオニスト・イデオロギーの変容』として結実した。近代化を頑なに拒んできたがゆえに、シオニズム運動を拒絶し、イスラエル建国後もディアスポラ文化を固持してきたユダヤ教超正統派の形成過程を、反シオニズム・イデオロギーと実践形態の変容という観点から辿った同論考は、ユダヤ教、シオニズム、現代イスラエル国家の間に見られる錯綜した関係について新たな光を当て、「ユダヤ教=シオニズム」という社会通念を刷新しうる論点を提供したという意味で、国内のユダヤ・イスラエル研究において一定の評価を得た。 さらに後半では、フィールド調査に向けた資料の読み込みを行なった上で、2009年3月1日から3月10日の日程で、イスラエルのエルサレムとブネイ・ブラクの超正統派コミュニティを訪問し、イェシヴァと呼ばれる宗教施設での参与観察とコミュニティの問題を取り仕切るラビをはじめとする宗教者との面接にも成功した。その成果は2009年度の早い段階でまとめて論文化する予定である。
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Research Products
(1 results)