2008 Fiscal Year Annual Research Report
「エフタル期」の図像資料の特定と考察 : バーミヤン、ソグド、クチャを中心に
Project/Area Number |
20720024
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Research Institution | National Research Institute for Cultural Properties, Tokyo |
Principal Investigator |
影山 悦子 National Research Institute for Cultural Properties, Tokyo, 文化遺産国際協力センター, 特別研究員 (20453144)
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Keywords | 中央アジア / 美術史 |
Research Abstract |
エフタルとは5世紀後半にバクトリア(現在のアフガニスタン北部)を拠点として急速に勢力を拡大し、6世紀前半には中央アジアのほぼ全域を支配下に治めた遊牧民族である。エフタル支配期の造形資料は、これまで中央アジア美術史においてほとんど注目されてこなかった。その原因は、エフタルについて不明な点が多く、さらに遊牧民は文化的には定住民に影響を与えなかったと考えられてきたからであろう。 しかし、新たに中国やアフガニスタンで発見されている図像資料や文献資料により、エフタルに関する研究が進み、エフタルがクシャーン朝に匹敵するほど重要な影響を中央アジア地域に及ぼした可能性が明らかにされつつある。 このような視点から中央アジアで発見される図像資料を見直し、エフタル支配期もしくはその直後に制作された可能性の高い資料を特定することを目標とする。バーミヤン(アフガニスタン)、ソグド(現在のウズベキスタン北部とタジキスタン北部)、クチャ(中国新彊ウイグル自治区)の壁画を主たる対象とする。 初年度である本年度は、対象となる造形資料の収集を行った。バーミヤン、ソグド、クチャの壁画のほかに、バクトリアで出土した壁画、塑像、銀器なども対象とした。同時に、エフタル、中央アジア美術に関する出版物の収集を行った。 来年度は収集した資料の分析を行い、「エフタル期」に共通して見られる服装や習慣、またこの時期に特徴的な絵画表現を明らかにしたい。
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