2009 Fiscal Year Annual Research Report
「エフタル期」の図像資料の特定と考察:バーミヤン、ソグド、クチャを中心に
Project/Area Number |
20720024
|
Research Institution | National Research Institute for Cultural Properties, Tokyo |
Principal Investigator |
影山 悦子 National Research Institute for Cultural Properties, Tokyo, 文化遺産国際協力センター, 特別研究員 (20453144)
|
Keywords | 中央アジア / 美術史 |
Research Abstract |
エフタルとは5世紀後半にバクトリア(現在のアフガニスタン北部)を拠点として急速に勢力を拡大し、6世紀前半には中央アジアのほぼ全域を支配下に治めた遊牧民族である。エフタル支配期の造形資料は、これまで中央アジア美術史においてほとんど注目されてこなかった。その原因は、エフタルについて不明な点が多く、さらに遊牧民は文化的には定住民に影響を与えなかったと考えられてきたからであろう。 しかし、新たに中国やアフガニスタンで発見されている図像資料や文献資料により、エフタルに関する研究が進み、エフタルがクシャーン朝に匹敵するほど重要な影響を中央アジア地域に及ぼした可能性が明らかにされつつある。このような視点から中央アジアで発見される図像資料を見直し、エフタル支配期もしくはその直後に制作された可能性の高い資料を特定することを目標とする。バーミヤン(アフガニスタン)、ソグド(現在のウズベキスタン北部とタジキスタン北部)、クチャ(中国新疆ウイグル自治区)の壁画を主たる対象とする。 本年度は、ロシアのエルミタージュ美術館において、中央アジア(現在のウズベキスタン、タジキスタン、中国新疆ウイグル自治区)から出土した壁画、銀器、木彫、塑像の調査を行った。 また、イスラム以前の中央アジアの歴史や文化をテーマとした研究会に出席し、また、中央アジアの考古学、美術史、歴史に関連する出版物を収集し、最新の研究成果を把握するように努めた。
|