2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20720025
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Research Institution | Onomichi University |
Principal Investigator |
深谷 訓子 Onomichi University, 芸術文化学部, 准教授 (30433379)
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Keywords | 美術史 / 芸術学 / オランダ美術 / バロック美術 / 美術の南北交流 / イタリア美術受容 / 版画 |
Research Abstract |
本研究の目的は、北方(とくにネーデルラント)出身の画家たちが、ローマで注文を受けて制作した作品に関する情報収集(目録化)と、そのなかでも特に重要と判断した数点の作品に関する個別研究を通じ、いまだ不明点の多い1570年から1630年までの期間に、北方出身の画家たちがローマにおいて如何なる活動を展開していたかということについて、可能な限り包括的な把握を目指すことである。そのために、(1)ネーデルラント出身の画家がローマで注文制作した作品の目録化、(2)彼らのローマにおける制作活動の概要の叙述、(3)重要な作品に関する個別研究という、三部を統合した研究を行う予定である。カラヴァッジストの作品や教会の祭壇画を中心にリスト化を進めた昨年度に引き続き、今年度はパウル・ブリルらの風景画についてもリストアップを進めた(当時の所蔵がイタリアにあるものについては、注文制作だと確定できない場合も、別項目を設けてリストに収めることにした)。また、まだ処理の済んでいないものも多いが、ミュンヘン、ハーグ等で資料収集を行い、目録化のための資料を充実させた。さらに、当時の美術文献のなかに関連記事を捜し求める過程で、17世紀の美術文献における版画論の展開について考える機会を得、それを紀要論文にまとめて刊行した。まだ不十分な点が多々残る状態ではあるが、(2)にあたる概論執筆についても、各種先行研究等を参照しつつ進めているところである。
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