2008 Fiscal Year Annual Research Report
中国仏教美術における観仏思想と造形表現に関する研究
Project/Area Number |
20720029
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Research Institution | Cyber University |
Principal Investigator |
大西 磨希子 Cyber University, 国際文化学部, 准教授 (00413930)
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Keywords | 美術史 / 仏教美術 / 敦煌 / 莫高窟 |
Research Abstract |
本研究の目的は、中国の仏教美術において、仏あるいは仏の浄土を"観る"という思想が、造形表現にいかなる影響を及ぼしたのかという問題について、現存作例が集中する敦煌莫高窟の壁画や絹本画を中心とする作品研究と、関連する文献研究によって具体的に浮き彫りにすることにある。 初唐期に突如として現れる大画面の西方浄土変には、(1)大画面、(2)奥行き、(3)緻密さ、という現在のバーチャルリアリティ技術とも通じる一種の造形的仕掛けが施されており、それによって観者の眼前にあたかも阿弥陀の西方極楽浄土そのものが存在するかのような感覚を呼び起こす造形表現が採られている。こうした新種の西方浄土変が生み出された唐代の作品には、仏菩薩と同一空間に供養者をあらわすという、それまでの作品には見られなかった新しい表現が見出せる,それはすなわち、仏世界と人間世界との空間認識が唐代に大きく変化したことを物語るものと考えられ、文献にもそうした新たな認識の存在をうかがわせる記事が見出せる。 そこで研究初年度にあたる本年度は、公刊されている図録等を中心に、関連作例の収集を行った。その際、資料整備として、国立情報学研究所のディジタル・シルクロード・プロジェクトの技術支援のもと、石窟データベース(http://dsr.nii.ac.jp/china-caves/)を構築した。これは、同プロジェクトの「東洋文庫所蔵」図像史料マルチメディアデータベースに収められている石窟関連のデジタル・リソースを活用し、石窟寺院のなかでも特に重要な(1)敦煌莫高窟、(2)ベゼクリク石窟、(3)キジル石窟について、関連する画像データを収集・整理したもので、複数の編号が存在することから資料の探索が困難であったこれらの石窟について、既存の石窟番号対応表を修正・追加して作成した。
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Research Products
(3 results)