2008 Fiscal Year Annual Research Report
『うつほ物語』享受史における奈良絵本と板本の影響関係についての調査研究
Project/Area Number |
20720056
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
田村 隆 Kyushu Sangyo University, 国際文化学部, 講師 (70432896)
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Keywords | 奈良絵本 / うつほ物語 / 享受史 / 板本 / 万治版 / 古活字版 / 写本 / 絵巻 |
Research Abstract |
九州大学附属図書館が所蔵する『うつほ物語絵巻』および九曜文庫所蔵の奈良絵本『うつほ物語』(「奈良絵本絵巻集」による)の本文と絵を詳細に調査し、その成果を論文「奈良絵本『うつほ物語』の背景」(『文学』岩波書店、平成20年7・8月号)として発表した。本稿では、奈良絵本と板本を本文と絵の両方向から比較・検討し、九州大学本と九曜文庫本(横本)のいずれもが万治3(1660)年刊行の『うつほ物語』板本に基づいて制作されたものであることを論証した。 上述の万治3年刊本についても、早稲田大学所蔵の古活字版(第2種)や、大阪府立中之島図書館所蔵の古活字版(第2種異植字版)との関係を調査した。前者については早稲田大学図書館が公開している画像データベースを用い、後者については国文学研究資料館のマイクロフィルム複写によった。 また、古活字版の本文研究の成果として、論文「寛永古活字版『源氏物語』一斑-広島県立歴史博物館黄葉夕陽文庫本をめぐって-」(『語文研究』105号、九州大学、平成20年6月)を発表した。 奈良絵本と板本の関係を広く捉えるため、『うつほ物語』のほかに、『源氏物語』、『伊勢物語』、および室町期の物語などの奈良絵本についても、写真版や関連文献を蒐集した。
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Research Products
(2 results)