2009 Fiscal Year Annual Research Report
現代アイルランド詩における多様性・アイデンティティ・伝統についての総合的研究
Project/Area Number |
20720070
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
菊地 利奈 Shiga University, 経済学部, 准教授 (00402701)
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Keywords | アイルランド / 現代詩 / 英語文学 / アイルランド文学 / 文学論 |
Research Abstract |
当初の計画に沿い、詩人マシュー・スウィーニーについて、(1) 「詩集Black Moonにあらわれる『忍びよる恐怖』についての分析」(2) 「現代アイルランド詩:マシュー・スウィーニー試訳考(一)」(3) 「同(二)」を発表し(詳細は別記「雑誌論文」の項目参照)、前年度におこなった詩人達へのインタビューをもとに、アイルランド詩人の生きた声を伝えるべく、(4) 「言葉41:ポーラ・ミーハン」(津軽-間舎『ム』第41号12頁)(5) 「言葉43:マシュー・スウィーニー」(同『ム』第43号12頁)を発表した。 また、出版計画をすすめるべく、(6) 英語論文「Poetry of Brendan Kennelly, Paula Meehan and Eavan Boland」の校閲作業を終了した。今後、出版社との交渉をすすめていく。その他、専門家以外の人々をターゲットにした(7) ホームページ「現代アイルランド詩の世界」を開設した。国際学会IASILグラスゴー大会における口頭発表「Crossing the Water to the Otherworld」は、医師の診断により長距離の移動が不可能になったためキャンセルせざるを得なかった。 各研究成果は、現代詩の世界で大きな影響力を発揮しているアイルランド詩の最新情報を分析しているという点で文学研究上の意義がある。(4)(5)は、日本で詩作活動をおこなう人々にむけて、アイルランド詩の「今」を伝えるという点でも有意義である。(2)(3)の論文が持つ翻訳解題的要素は、専門家以外の人々に対して詩への理解をほどこすという意義を持ち、同様に(7)も、日本の一般読者へ発信する情報としての意義があり、専門知識を社会へ還元するという意味からも重要な役割を果たす。(1)や(6)のような専門的な研究成果とともに、専門的学術分野だけに限られない広い範囲での文学活動の成果をあげられたことは、有意義であると考える。
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