2008 Fiscal Year Annual Research Report
日本におけるワイルド劇の受容に関する比較文学・比較文化的研究
Project/Area Number |
20720080
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Research Institution | Seisen University. |
Principal Investigator |
日高 真帆 Seisen University., 文学部, 講師 (90407619)
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Keywords | オスカー・ワイルド / 比較文学 / 比較文化 / 演劇学 / 英米文学 / 日本 : イギリス : アイルランド : アメリカ : オーストラリア |
Research Abstract |
年間を通して国内外のオスカー・ワイルドの研究動向を把握すべく関連資料の調査研究を進めると同時に、日本におけるワイルド受容史を俯瞰すべく関連資料の収集・分析を行った。その際、特に日本におけるワイルドの戯曲の受容について、比較的受容度が高い悲劇『サロメ』と受容度が低い全四編の喜劇作品とが置かれてきた対照的な状況に着眼し、比較文学・比較文化的研究を進めた。具体的には、まず、日本におけるワイルドの受容史における戯曲や関連作品の受容の特徴について検証した。そして、日本では『サロメ』や『ドリアン・グレイの肖像』のような悲劇的作品の受容度が高いのとは対照的に、英国で高い評価を得てきた喜劇作品の受容度が低い点に着眼し、ワイルドの喜劇作品と悲劇作品の特質及び受容に伴う状況の差異について検証した。その際、ワイルド喜劇において主要な役割を果たす機智の要素に着眼し、ワイルドの機智の至高の具現者であり、ダンディの価値観を共有する登場人物像の検証も交えて機智の特徴とその作中での役割とを分析した。更に、機智が言語圏及び文化圏を越境する際生じる問題点についても考察した。また、日本におけるワイルド劇の受容について考察を深めるためにも、他国での受容状況との比較検討が重要であると考え、特に英語圏であるアメリカやオーストラリアでの受容状況に着眼して比較考察を行った。その際、作中で異文化が如何に表象されているかという点をも考慮することで考察を深めた。以上のような研究を通して、ワイルド劇の特徴及びその受容状況の一端を明らかにした。
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Research Products
(4 results)