2009 Fiscal Year Annual Research Report
日本におけるワイルド劇の受容に関する比較文学・比較文化的研究
Project/Area Number |
20720080
|
Research Institution | Seisen University. |
Principal Investigator |
日高 真帆 Seisen University., 文学部, 講師 (90407619)
|
Keywords | オスカー・ワイルド / 比較文学 / 比較文化 / 演劇学 / 英米文学 |
Research Abstract |
年間を通してオスカー・ワイルドに関する国内外の最新の研究動向を把握すべく関連資料の調査研究を進めた。また、日本やオーストラリアにおけるワイルド受容の変容を辿るべく関連資料の収集・分析を行った。特に、日本におけるワイルドの受容については、現代におけるワイルドの戯曲及びその翻案の上演を含め、演劇作品に焦点を当てて研究を進めた。更に、受容について理解を深めるためにも原作の分析が不可能であることから、喜劇及び悲劇の作品研究も行った。 ワイルドの受容は、日本でも明治期から現代に至るまでその人と作品について文学者から演劇人に至るまで多くの人物を通して多様な形で進んだ。戯曲についてだけでも、森鴎外(1862-1922)、谷崎潤一郎(1886-1965)、三島由紀夫(1925-1970)、島村抱月(1871-1918)、松井須磨子(1886-1919)等々受容に関わった人物は枚挙に遑がない。また、芸術座や宝塚歌劇団のような劇団が果たした役割も看過できない。例えば、ワイルドの喜劇第四作、The Importance of Being Earnestは、1960年にその翻案であるミュージカル作品、Ernest in Loveがオフ・ブロードウェイで初演されたが、更にこの翻案作品を原作とする『Ernest in Love(アーネスト・イン・ラブ)』が1995年に宝塚歌劇団によって上演されている。このように、ワイルドの受容の裾野は広く、今日でも尚活発に受容され続けている。2009年度は現代にまで視野を広げてワイルド劇の受容の一端を明らかにすると共に、新たな観点から戯曲の作品研究を進め、国内外でその成果を発表した。
|