1940年～60年代アメリカ南部文学に見る「法」と「主体形成」の表象

2009 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 20720082
• Research Institution: Keiwa College
• Principal Investigator: 平塚 博子 Keiwa College, 人文学部, 専任講師 (80407379)
• Keywords: 法 / 主体 / 人種 / ジェンダー / ホワイトネス

Research Abstract

最終年度の活動としては、海外調査、国内調査、が主に挙げられる。本研究の目的は、高まりゆく公民権運動のなかで、南部社会全体が「法」の意味を日々問われていた1940年代から60年代の南部文学に見られる「法」の「主体形成」の表象を広範に分析することによって、アメリカ文学史、文化史に多角的な視野を提供することである。2年間の研究過程として、第一段階は1940年代から60年代に出版された南部文学作品の「法」の表象を、人種、ジェンダーの視点を踏まえて分析し、これらの作品中で「法」と「主体形成」の関係がどのように描かれていたかを明らかにする。次の毅階として、各作品と同時に1940年代から60年代の新聞、雑誌、この時代に関する歴史資料を分析し、文学作品において描かれる法と人種とジェンダーの関係を、歴史的コンテクストにおいて検討する予定である。平成21年度に関しては特にリリアン・スミスの作品を中心に1940年代から60年代にアメリカで出版された南部の文学作品、人種問題に関する法規制、公民権運動についての歴史資料の収集、精読に努めた。3月には、「ライフ誌」をはじめとする1940年代から60年代の雑誌の調査を、国際基督教大学図書館で行った。また3月にジョージア大学、エモリー大学、ルーズベルト記念図書館にて、スミスが手掛けた雑誌、未出版の書簡や作品などを含む、1930年代後半から60年代の南部文学、公民権運動の資料収集、調査を行った。この調査をもとに今後、南部文学作品における「法」の表象分析を深め、予定している学会発表、論文執筆でその成果を発表してゆきたい。