2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20720090
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
鳥山 祐介 Chiba University, 文学部, 准教授 (40466694)
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Keywords | ロシア / 18世紀 / 19世紀 / 崇高 / ピクチャレスク / 視覚文化 / ロシア文学 / 庭園 |
Research Abstract |
研究の軸の一つ「18-19世紀前半のロシア文学における『ピクチャレスク』」に関しては、平成20年度9月にモスクワに渡航し、ロシア国立図書館の本館および稀覯書籍部門、古書店等にて文献調査を行った。その結果、19世紀初頭のロシアにおいて英国のピクチャレスク概念が知られていたことを示す資料を発見した。これは、この領域に関する最新の網羅的な研究書であるアンドレアス・シェーンレの「庭園の統治者The Ruler in the Garden」(2007年)でも触れられていない、近代ロシア美学史を塗り替える可能性のある画期的な発見である。また現在は、同時期にモスクワにおいて収集したジラルダンの庭園論の翻訳やジュンコフスキーの詩といった主として庭園をめぐる同時代め文献を読みこんでいる最中でもあり、これらの資料を互いにつき合わせながら、18世紀末-19世紀初頭のロシアにおけるピクチャレスク概念の文化史的な位置づけを明らかにすべく、論文を準備している。 研究のもう一つの軸である「18-19世紀前半のロシア文学における『崇高』」に関しては、平成20年9月に、モスクワのロシア国立図書館にて、スマローコフやマルティノブによるロンギノスの崇高論の翻訳などの資料を収集した。目下、ロシアにおける「崇高」概念の変遷を示す資料としてこれらを読み進あており、近日中に論文にまとめる。また、「崇高」や「ピクチャレスク」と密接な関連をもつ視覚文化一般に関する問題の検討も引き続き行っており、目下、同時期にモスクワで収集した19世紀初頭の光学スペクタクルに関する資料も読み進めているところである。
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