2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20720090
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
鳥山 祐介 千葉大学, 文学部, 准教授 (40466694)
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Keywords | 外国文学(中・英・仏・独除く) / 西洋史 / 美学 / 文学論 |
Research Abstract |
18-19世紀初頭のロシア文学と視覚表象の問題 これまでの研究成果と内外の図書館で収集した文献を用いてロシア語論文「Живописность в описании обеденногостола в поэзии Г.Р.Державина(デルジャーヴィンの詩の食卓描写の絵画性)」を執筆し、ロシア国立人文大学出版局の論集「新文献学雑誌」に掲載された。グリフツォフ、エイヘンバウム等によって指摘されてきたデルジャーヴィンの詩の中の視覚性を絵画との関連から分析し、ロシアや西欧の風景画の系譜とも結び付けた論文であり、2011年初にロシアで刊行されたデルジャーヴィンに関する大部の研究書であるスモリャローワ(コロンビア大学)「デルジャーヴィン:視覚的抒情詩」でも数か所で引用された。 18-19世紀初頭のロシア文化における風景表象の問題 20-21年にかけてモスクワやヘルシンキで収集した資料を用い、10月に日本におけるロシア史研究者の拠点である「ロシア史研究会」の研究発表会の場において報告「18世紀末-19世紀初頭のロシアにおける風景表象の様式」を行った。また12月には千葉大学で行われたシンポジウム「ディアスポラの近代-国境を超える歴史形成-」において、18世紀末-19世紀初頭の旅行記におけるロシア諸地域の風景表象を分析した報告「1790~1810年代のロシアにおける旅行記:見出される境界線と風景への眼差し」を行った。ロシア文学研究者の枠を超えたこれらの場における報告を通して、歴史学や同時代のヨーロッパ文化の専門家と当研究の成果を共有する機会を持ったことの意義は大きいと考える。また、現在平行して進めているヴォルガ表象の研究は、当研究と内容的に関連が深く、当研究の成果が多く反映している。現在論文を執筆中であるほか、2012年1月には英国スラヴ東欧学会の分科会"Study Group on Eighteenth-Century Russia"での報告が予定されている。
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