2008 Fiscal Year Annual Research Report
東西資料によるモンゴル時代の政治・文化交流の解析と実証
Project/Area Number |
20720096
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮 紀子 Kyoto University, 人文科学研究所, 助教 (60335239)
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Keywords | モンゴル / 大元ウルス / 東西交流 / 旅行記 / 陰陽道 / 医学 / 和算 / 全真教 |
Research Abstract |
モンゴル時代にかかわる主要なペルシア語写本やヨーロッパ諸言語による年代記等の資料収集を行い、チンギス・カン西征以降の中央アジア情勢に言及した漢文資料(典籍・碑刻)と徹底比較、検証を進めた。また、今後の作業に必須となるトルコ語、アラビア語の習得にも力を入れた。その成果は、13-15世紀の東西旅行記の訳注および解説というかたちで、近く杉山正明(京都大学教授)、小野浩(京都橘大学教授)との共著として刊行される予定である。また、江戸期の和算がモンゴル時代初期における東西学術交流の成果の上に発展したことを、華北で一大勢力を有した道教教団全真教がのこした資料および日本の抄物等を利用することによって実証し、じゅうらいの数学史の問題点のいくつかを指摘・解消する口頭発表を行った。文学・陰陽学・医学・薬学・天文学・数学・地理学などあらゆる分野を包括、修得しており、モンゴルの各ウルスの政治顧問となっていった東西のテクノクラート集団の動向を同時に辿る試みは、これまでまったくといっていいほどなされていなかった。金朝末期からモンゴル初期にかけての華北の学問が山東、朝鮮、対馬を経由して日本に流入していたこと、同時に華北の文官がとうじの日本についてそれなりの知識を有していたことも、じゅうらい指摘されていなかった事実である。この成果もまた、とうじの時代背景を語る格好の資料として、上述の出版物の付編として収録されることになっている。
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Research Products
(4 results)