2008 Fiscal Year Annual Research Report
東アジア圏における中国古典小説の現代的意義と価値について
Project/Area Number |
20720097
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
上原 徳子 University of Miyazaki, 教育文化学部, 講師 (50452917)
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Keywords | 中国文学 / 古典小説 / 東アジア |
Research Abstract |
本年度は、研究初年度であるので、分析の基本となる資料収集が主な研究活動であった。まず、現代中国における古典小説の受容の状況を調査することに主眼をおいた。特に、明代の古典小説の映像化の状況、中国及び香港での翻案小説の状態に注目した。調査は、インターネットを通じて香港電影資料館のデータベースを中心に行った。それと平行して、関連の書籍の購入、海外DVDの収集、海外DVDを視聴可能な機器の購入を行った。日本でかつて行われた中国小説のテレビドラマ化作品にも着目し、映像資料を購入し、次年度以降の分析に備えた。また、韓国における中国古典小説の受容状況も調査の対象とした。その結果、日本で一般的に受け入れられている中国古典小説は同じように韓国でも受け入れられていることがわかった。さらに、それに関する先行研究の存在も把握割いた。研究実施計画のとおり、この調査は次年度に継続され、その成果を発表する予定である。 また、中国で行われた明代文学の学会に参加し、最新の明代小説の研究状況を理解し、また彼らと問題意識を共有することに勤めた。さらに、学会参加に伴い、上海の書店の調査を行い、そこで販売されている現代小説の中にみられる古典受容の状況に努めた。中国の書籍出版、特に一般書の状況は日本にいてデータベースを検索するだけでは不十分だからである。 また、本年度は、研究代表者の以前の研究と連続性が最も高い明末の白話小説の受容状況を積極的に調査・分析した。特に、香港で2004年に公開された『Miss杜十娘』の分析をし、論文を発表した。その際、国会図書館関西館、東京国立公文書館での調査を行った。またその調査・分析の過程において、同作品のアメリカで英語による翻案小説の存在、さらにそれを日本語に翻訳した小説が発表されていることが分かり、図書館を通じる形で資料を収集した。次年度以降は、さらにこの作品について詳細な分析が可能になると考えている。
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