2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20720101
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
井土 愼二 Aichi Prefectural University of Fine Arts and Music, 音楽学部, 准教授 (80419233)
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Keywords | 言語学 / 意味論 / 非文 / Nonsententials / Nonsentential utterances / 非文発話 |
Research Abstract |
平成21年度は、不完全文生成モデルが「Wh疑問文への回答」、「重複語句剥奪」、「拘束形態素のみから成る発話」の三種類の不完全文に加えて、「複数の焦点を持つ不完全文」の生成をも扱えることを明らかにした。これらの不完全文の生成において、また主語と動詞の一致を持つ言語における主語の義務的な出現においても、不完全文生成モデルの二つの原則である「意味のある発話においては次の形態素の出現のみが義務的である:a) 焦点である形態素b) 焦点が文法的に共起を要求する形態素」が貫徹することを明らかにした。この結果は、当初の目的であった「不完全文の生成を統一的に説明する」が一定の達成を見たことを示す。 平成21年度はまた、質問の意味を「返答の意味に適用すると命題を産出する関数」とするKrifkaの分析に拠って、質問-応答に現れる不完全文の意味表示の枠組みの統一を行った。これは平成20年度末の時点で、平成21年度での目標の一つとされていたものである。これも「不完全文の生成を統一的に説明する」という当初の目的の達成に資するものとなった。 平成21年度の終了後となるため研究発表欄には記入できないが、これらの成果の半分が反映された論文を査読付の雑誌に投稿した。
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