2008 Fiscal Year Annual Research Report
バリ語山地方言の構造的特徴と社会言語学的実態の調査
Project/Area Number |
20720108
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
原 真由子 Osaka University, 世界言語研究センター, 講師 (20389563)
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Keywords | 言語学 / 社会言語学 / バリ語 / インドネシア語 |
Research Abstract |
1. 本研究の目的の1つである、バリ語山地方言の方言学的に重要な構造的特徴を解明するために、バリの言語調査のために提案された語彙・句・文リスト(Suparman 1997)と『アジア・アフリカ言語調査表上/下』(アジア・アフリカ言語文化研究所1966/1979)を手がかりに、基礎語彙、文化語彙、それら両方にまたがる敬語語彙要素を含む約1,500項目からなる語彙調査票を作成し、現地調査に備えた。日本語の語彙項目に対応させ、インドネシア語・平地標準方言の等価語彙を記録し、さらに平地標準方言の記載には本研究に不可欠な敬語情報を付与した。 2. バリ語山地方言調査の拠点として、インドネシア・バリ州ブレレン県バンジャール郡プダワ村を選び、約2週間の初期調査を実施した。プダワ村の典型的な山地方言話者1人を対象に先述の語彙調査票を用い、各語彙項目について山地方言語彙を詳細に聞き取った。この語彙調査に基づき、山地方言と平地標準方言の間の語彙の変異、音声学・音韻論や敬語体系の違いについて分析し、来年度以降の追試験的調査の基礎とした。 3. 語彙調査と平行して、プダワ村の人口統計資料を収集し、年齢・性別・学歴・職業などの社会的属性に注目しながら、その村の社会言語学的様相を考察した。この考察結果は、来年度以降の語彙調査や山地方言地域の社会言語学的状況を明らかにするための面談調査の対象を選定する材料とする。 4. 現地研究機関であるインドネシア言語研究所デンパサール支所、ウダヤナ大学、ガネーシャ教育大学に所属する研究者と、バリを含むインドネシア国内の言語状況、インドネシア語およびバリ語を含む地方語の言語学・社会言語学の諸問題について意見交換・討議をおこなった。
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