2010 Fiscal Year Annual Research Report
バリ語山地方言の構造的特徴と社会言語学的実態の調査
Project/Area Number |
20720108
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
原 真由子 大阪大学, 世界言語研究センター, 准教授 (20389563)
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Keywords | 言語学 / 社会言語学 / バリ語 / インドネシア語 / インドネシア |
Research Abstract |
1.平成22年9月に約3週間、インドネシア・バリ州ブレレン県プダワ村において現地調査を実施した。まず、平成21年度に発表したバリ語山地方言の語彙資料をもとに、語彙調査の追試験をし、さらにその過程で新たな語彙も収集した。得られたデータをふまえ、音韻構造と語彙の平地方言との比較をすすめ、山地方言の構造的特徴を解明するための基盤となるデータベースを拡張した。 2.バリ語山地方言地域の社会言語学的状況を明らかにするために、平成20年の現地調査で収集したプダワ村の人口統計資料の分析結果をもとに、面談調査表作成と被験者選定を行った上で、約60人の住民に面談調査を実施した。その回答の分析結果は現在投稿に向けて執筆中である。山地方言地域の社会言語学的状況はこれまで発表されておらず、本研究による成果はバリ語使用地域全体を明らかにすることに貢献するという意味で、バリ言語社会研究にとって非常に重要な価値をもつ。 3.前回の調査で収集した、バリ語山地方言とインドネシア語のコードスイッチングが見られる会話資料とバリ語平地方言やインドネシア語の混在のない(極めて少ない)山地方言のみの会話資料のテープ起こしに着手した。また、面談調査に基づき、これら2種類の会話資料の収集も平行して行った。この作業によって、バリ語(平地方言)とインドネシア語のコードスイッチングのメカニズムに関して私がすでに提案している仮説の有効性を、上記の1.と関連する山地方言の構造的特徴をふまえた視点から、山地方言において検証するためのデータ整備を開始することができた。
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