2010 Fiscal Year Annual Research Report
チノ語の記述調査及び周辺諸言語との言語接触・言語類型論的研究
Project/Area Number |
20720111
|
Research Institution | Kobe City University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
林 範彦 神戸市外国語大学, 外国語学部, 准教授 (40453146)
|
Keywords | チノ語 / 記述言語学 / チベット・ビルマ諸語 / 言語類型論 / 言語接触 / 歴史言語学 / 東南アジア地域言語学 / 中国雲南省 |
Research Abstract |
本年度は昨年度の研究に引き続き、2度の現地調査と6回の学会口頭発表を行った。 まず2度の現地調査については、第1期:2010年7月~8月と第2期:2011年3月に実施した。第1期は中国雲南省シーサンパンナ州に居住するチベット・ビルマ系民族のチノ族・ハニ族・ラフ族の3民族について、チノ語悠楽方言・補遠方言、ハニ語ゲランホ方言、ラフ語モンハイ方言を調査した。チノ語悠楽方言については文例や語彙の補充を行った。補遠方言は2009年に行った調査の継続で、高級語彙の補充と基礎文例500例程度を採集した。またハニ語ゲランホ方言は第1回の調査を実施し、基礎語彙1700例程度を採集した。またラフ語モンハイ方言は高級語彙500例を採集した。チノ語補遠方言・ハニ語・ラフ語の調査はまだ初期段階に属するが、今後さらに整理を進め、これらの言語がいかなる歴史的発展を遂げてきたのか、またタイ系やフモン・ミエン系などの他系統の言語からうけた影響などの分析を進めていく。いずれの言語も消滅に瀕する言語と考えられ、今後の継続調査が急がれる。 第2期の調査はチノ語悠楽方言の文の種類や移動動詞の問題について集中的に調査した。自然発話についても短期間ながら640例を収集・整理した。 口頭発表にて研究成果を発表し、6回のうち4回が国際的な学会・研究会である。チノ語の音韻面における歴史的発展や存在動詞における共時的問題などについて海外の研究者とも研究討議を重ねた。これらは本年度中に論文にまとめることはできなかったが、研究を継続し、順次研究論文として公開する予定である。具体的には2011年度中に上記発表のうち3本程度を論文として公開する準備を行なっている。 チノ語悠楽方言の語彙集は公開するレベルにまでまだ到達していないが、収集した語彙情報は今年度の調査でさらに詳細になった。整理を進めて、早期の語彙集公開を行いたいと考えている。
|
Research Products
(6 results)