2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20720113
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
千葉 謙悟 Waseda University, 高等研究所, 助教 (70386564)
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Keywords | 言語文化交流 / 翻訳語 / 意訳語 / 音訳語 |
Research Abstract |
今年度は以下のような成果を挙げた。 1. 意訳語に関しては第一に「聯邦」の語誌を記述した!「聯邦]は来華宣教師の創造にかかる意訳語である。この語が日本における状況とは異なり、中国においてはその政治的状況をふまえて「民主」「共和」といった翻訳語と緊密な連携を結ぶようになった様相を解明した。第二に宗教用語として「奇跡」の語誌を記述した。この語はキリスト教の基本用語の一つであり、現代生活でも常用される語であるにもかかわらずその出自は明らかになっていない。中国では「聖蹟]「靈跡]が20世紀初まで用いられていたが、1890年代に日本で定着した「奇跡」が導入されて1930年代には中国においても定着することとなった。この研究では20世紀前半における日中間の語彙交流の様相を解明し、「聖」「靈」から「奇]への変更という形態素の切り替えによるmiracle理解の日中における差異についても指摘した! 2. 音訳語に関してはナポレオンおよびワシントンの語形の変遷を記述し、現在の語形が定着した要因を解明した。「華盛頓」「拿破侖」という音訳語が定着した背景として、各方言における読音差の相対的な小ささが語形の定着につながったことと、彼らの伝記から見られるイメージが漢字の選択に影響した可能性を指摘した。 3. 上記1.2. に関しては上海および北京で開催された国際シンポジウムに参加しその研究成果を海外に発信した。詳細は雑誌論文と学会発表を参照。
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Research Products
(7 results)