2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20720113
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
千葉 謙悟 中央大学, 経済学部, 助教 (70386564)
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Keywords | 中国語 / 言語文化交流 / 翻訳語 / 意訳語 / 来華宣教師 |
Research Abstract |
本年度の成果は三点にまとめられる。第一に19世紀中国語における音訳語全般の状況に関してそれを掲載したメディアとの関連を探る論文「19世紀音訳語の資料・特徴・交流-中国語の文体変容の前段階-」を発表した。ここでは19世紀中国における翻訳語の主要な特徴がメディアという基準である程度描き出せることを示した。 第二に19世紀の中国人カトリック信徒郭連城によって表された洋行記『西遊筆略』について「欧行記・文化交流・翻訳語-郭連城『西遊筆略』(1863)初探-」を発表し、『西遊筆略』にみえる翻訳語を中心に分析した。洋行記にみえる翻訳語について従来の研究が『走向世界叢書』所収のものを主たる対象としていたのに対し、ここではそれ以外の文献に目を向け、通時的な語誌記述のための基礎を築いた。また中国人による意訳語創造パターンについても基礎的な検討を加えている。 第三に、翻訳語研究の基礎となる来華宣教師たちの活動についても研究成果を発表した。以前に引き続き18世紀のフランス人来華宣教師プレマールについてその著書である中国語文法書Notitia Linguae Sinicae(1720)のラテン語原典からの翻訳を連載した。このまたその翻訳を基礎として、プレマールによる中国語に対する観察につきローマ大学における「"欧洲人的漢語研究歴史"国際研討会曁世界観語教育史研究学会第三届年会」で発表した。 これらの研究成果は当初の目標である中国語における翻訳語生成過程の類型化およびその日本語との比較のために基礎を築いたということができる。
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Research Products
(4 results)