2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20720114
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
陳 捷 Ritsumeikan University, 文学部, 講師 (10469182)
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Keywords | 甲骨文字 / 商代 / 卜 / 史 / 聖職者 |
Research Abstract |
本研究は、甲骨文字そのものを分析することによって、商代における諸種の聖職者を中国文化史の中に位置づけ、その系統と変遷を究明することを目的とする。この目的を達成するために、商代諸種の聖職者に関する甲骨卜辞を五つの時期に分け、時代の流れに沿ってその歴史的展開を追うという方法を採る。『春秋左氏傳』定公四年に「祝、宗、卜、史」と見え、『禮記』禮運に「藏於宗、祝、巫、史」とあり、主に祈祷を担当する「祝」(太祝)・祭祀を司る「宗」(宗人)・卜占を行う「卜」(太卜)・記録に携わる「史」(太史)・神降ろしをする「巫」など商周時代の聖職者が挙げられていることから、本研究はこれらの聖職者を主要な対象として総合的に検討してゆく。 初年度はまず研究資料の収集から始めて、先行研究の成果を広く集め、深く理解し、正確に把握する。『甲骨文合集』・『小屯南地甲骨』・『英國所藏甲骨集』・『甲骨文合集補編』・『殷墟花園荘東地甲骨』などの甲骨著録書を丹念に調べ、商代の聖職者に関連する全ての卜辞を抽出し、データベースの基本資料を蓄積した。拓本を参照しながら釈文を整理し、最新の研究成果によって必要な修正を行った。関連卜辞を網羅し、正確な釈文を作り、しかるべき出典を詳しく挙げ、商代の聖職者に関するデータベースを構築した。また、遼寧省博物館を訪問し、羅振玉旧蔵の甲骨資料の実物や関連文献を研究し、コンピュータによって整理を進めながら、論文作成の諸準備を整えた。以上のような研究活動によって着実に研究成果を積み上げ、甲骨文字に直接関わって占卜を行う「卜」と記録に携わる「史」について、論文「商代の卜と史」を作成し、聖職者としての「卜」と「史」の役割を分析して、両者の緊密な関係を論じた。
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