2009 Fiscal Year Annual Research Report
グループ・ディスカッションにおける合意形成の成り立ちと問題点
Project/Area Number |
20720117
|
Research Institution | Advanced Telecommunications Research Institute International |
Principal Investigator |
鈴木 佳奈 Hiroshima International University, 心理科学部, 講師 (20443252)
|
Keywords | グループ・ディスカッション / 合意形成 / 大学生 / 談話研究 / 議論支援ツール |
Research Abstract |
本研究は,大学生によるグループ・ディスカッションの実データをもとに,グループ・ディスカッションにおける合意形成の成り立ちと問題点を談話分析的に解明するものである。さらに,解明された問題点をふまえ,ディスカッションを支援するツールの開発も手がけた。 本年度は,昨年度に引き続きビデオ収録したディスカッションを分析し,合意形成を妨げる問題点を以下の3つに集約した。 1. 全体の流れの見通しの欠如:なにをどう話し合えばよいのかわからない,または場の全員に共有されていない。そのために,議論を始めてすぐ「賛成」「反対」などを言い合い,そのあと長い沈黙が生じてしまう,制限時間内にまとまらなかったり逆に時間をもてあましてしまう,などの問題が生じる。 2. 課題の理解不足:与えられた課題自体を分析せずに意見表明を行う。そのため,同じ言葉で指し示しているものが人によって異なっていて話がかみあわなかったり,意見表明の際に各人が異なる側面を根拠として挙げてしまい議論が平行線になり妥協点を見出せない,などの問題が生じる。 3. 個々の発言の検討不足:場に出された発言の妥当性を客観的・論理的に検討しないまま次の発言を出す。そのため,各人が意見を言いっぱなしになって議論が積み重なっていかない,逆に意見に対する反論を個人的な攻撃とみなして感情的になってしまう,などの問題が生じる。 これらの問題点をふまえ,本研究の一環として,大学生のディスカッションをサポートする支援ツール「議論ステップモデル」作成し,芝浦工業大学の授業で実際に使用してもらった上で改良を試みた。このツールを使って,グループ・ディスカッションの典型的な流れを知り,系統立てて議論するトレーニングを行うことは,学生にとって実社会でのディスカッションの場でも自律的にふるまうための基礎となるだろう。
|
Research Products
(1 results)