2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20720119
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Research Institution | Seijo University |
Principal Investigator |
竹内 史郎 成城大学, 文芸学部, 准教授 (70455947)
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Keywords | 日本語 / 活格性 / 格標示 / 主語節 / 助詞イ / 石垣法則 |
Research Abstract |
本年度の研究の成果は、(1)「ト節にミ語法を含む構文-助詞トによる構文補記-」(『萬葉語文研究』第6集、和泉書院)、(2)「ツツアルの歴史的展開-文体差に着目して-」(『成城国文学』27号、成城大学国文学会)等の論考において発表した。(1)は奈良時代語の活格性を考える上で重要なファクターとなるミ語法について、特にその係り先について詳しく論じたものであり、(2)はツツアルというアスペクト形式の文体上の分布を歴史的に明らかにしたものである。(2)で扱ったテーマは、一見日本語の活格性と無関係であると感じられるかもしれない。しかし広く世界の言語を見渡したとき、活格性と述語のアスペクチュアルな性質が密接な関係にあることはよく知られた事実であり、日本語の活格性についても同様に、述語のアスペクチュアルな性質を考えることなしに論じることはできない。(2)の論考は、このような意味で、筆者のアスペクト研究の「入口」ということになる。 以上のこととは別に、次年度以降の業績につながっていく、本年度の研究成果について述べる。まず、奈良時代から平安時代における、主語節の動作主標示についての考察をさらに深めることができた。主語節と助詞イの関係や形状性名詞句にまつわる石垣法則等について、今日的な解釈を示すことができそうである。また、平安時代語の主節の格標示体系についてもこれまでの考察をまとめることができた。歴史的な変化も視野に入れながら、平安時代語の特性を示す準備が整いつつある。
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