倭玉篇を中心とした漢和辞書の中世から近世への変移

2009 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 20720125
• Research Institution: Nihon University
• Principal Investigator: 鈴木 功真 Nihon University, 文理学部, 准教授 (00339235)
• Keywords: 日本語史 / 古辞書 / 漢和辞書 / 倭玉篇 / 大広益会玉篇 / 字彙

Research Abstract

中世から近世にかけて編纂された漢和辞書群に就いて日本語史の資料性を明らかにすることを主たる目的とする。その目的ために、近世漢和辞書について所蔵調査等を通して代表的な諸本を決定し、その記載内容を比較検討しようとするものである。また、中世の『倭玉篇』諸本の展開を踏まえた上で、本研究によってもたらされた近世の『倭玉篇』・漢籍和刻附訓字書・画引き字書類の系譜の結論から、近代に成立した漢和辞書の前史が明らかになるものと予想している。前年度初めに本計画に関する2点の先行研究が明らかとなり、それらで参照されている『江戸時代流通字引大集成』に採録されている諸本の位置づけの検討は今年度も継続して行った。そして、漢籍辞書『大広益会玉篇』和刻本の片仮名和訓に就いて考察を行い、典拠となる先行辞書に関する検討を加えた。さらに、近世漢和辞書は『慶長十五年版倭玉篇』と『大広益会玉篇』への依存と逸脱というのが一視点として成立するようであるという観点から、次の調査を進めることにした。第一に『慶長十五年版』からの逸脱について調査を進めている。逸脱の際の典拠資料の特定に向けた調査である。また、第二に『大広益会玉篇』からの逸脱方針についても調査を開始した。なお、和刻本片仮名和訓の考察に就いては、投稿、査読中であり、残念ながら本報告書に刊行成果として間に合わせることが叶わなかったが、最終年度は十分な成果として報告する計画である。